その日、いつもと同じように一人でお弁当を食べようとしていると志賀谷さんに「一緒に食べない?」と声をかけられた。

教室を見渡してみると、志賀谷さんがいつも一緒にお弁当を食べていた松平さんだった――は綾瀬さん達と一緒に食べているようだった。


「……えっと……うん。」


高校生になって誰かとお昼ご飯を食べるのは初めてだった。


どうして私を誘ってくれたんだろう……。


そう考えていると、わたしの反応を伺うように加賀谷さんは言った。

「急にごめんね。莉帆が……あ、松平さんがね、なんか今日から綾瀬さん達とお昼食べるって。」


それから少し声を落としてこう続けた。


「……私ら、めちゃくちゃ仲良しだったってわけじゃなくて、中学が同じで、あの子から仲良い人できるまで一緒にいてって言われてただけなんだ。」