「なに、を……?」
口をついて出たのはそんな間の抜けたセリフだった。
「テキトーにアイス買ったんだよね。はい、これあげる。」
がさごそとビニール袋をかき回しながらそう言って手に持たされたのは、イチゴ味のハーゲンダッツだった。
その少年はしれっと隣のブランコに腰かけると自分はバニラ味のハーゲンダッツを食べようとしていた。
「イチゴ、嫌いだった?」
「や、そうじゃなくて……。」
こんな夜中にハーゲンダッツって……。太っちゃうじゃん。
そう思いながらも、彼女は蓋を開けてアイスをひと口、口に運んだ。
甘酸っぱくて、優しい味がした。
イチゴの果肉がプチプチと潰れるのが気持ちよかった。無言で口に運び続ける。
食べ終わった頃には甘い物のおかげなのか、隣に誰かがいてくれるからなのか、さっきまでの寂しさがアイスと一緒に溶けて消えていくようだった。