「さて、準備はいいか?」
リーズはギルド前に集まるパーティメンバーに向かってそう問いかける。
「当たり前よ、この日を待っていたわ!」
とシア。
「リーズについていけば間違いないから」
とオッズ。
そして三人ともが俺を見る。
「期待してるぜルーキー! 俺達のパーティの最後のピースだ」
そう言い、リーズはニカッと笑う。
「そうよ、みんな期待してるんだから。というか、ホロウ君ならやれる!」
「そうだよ、正直リーズより安心でき――」
とオッズが口走ったところで、リーズのツッコミが入る。
「う、うるせえ! いいか、今回はいつもと違う依頼なんだからな、気合入れろよ!」
「わかってるわよ、これの為のメンバー増強だしね」
「その通り! ここ数日で俺たちは即席パーティではなく真のパーティになれた! オークの討伐も順調だし、連携も申し分ない!」
確かに、ここ最近の快進撃は凄かった。
俺たちは前衛2人、後衛2人という完璧なバランスで陣形を組み、ダンジョンを深くまで探索していた。
ヘルハウンドやオークにはもう殆ど手こずらないようになってきた。
まだ数が多いとごちゃつくけど、以前ほどじゃない。周りの赤階級と比べても頭一つ抜けているだろう。
『そうね、良いパーティに入れたわね』
「やっぱりそう思う?」
『ええ。仲間ってやっぱり大事だからね。一人で強くなるのも良いけど、仲間と背中合わせで戦う経験っていうのは貴重なものよ』
いつもよりどこか懐かしむような口調のカスミ。
いつかの記憶なのだろうか。
「いけるか、ホロウ?」
リーズがそう問いかける。
「もちろん! 俺なんかを入れてくれてありがとう。絶対役に立ってみせるよ」
「その意気だぜ! それでこそ前衛、いい心がけだ!」
「まあなんかあったら回復してあげるから任せて。安心して骨の一本や二本折れてもいいわよ」
「ちょ、ちょっとシアの回復魔術じゃ骨は治らないんじゃ……」
「あはは、ホロウ君も私にツッコめるようになったわね」
とみんなが一斉に笑う。
「え、えっと……」
「それだけ仲が深まったって事! 別に馬鹿にしてる訳じゃないわよ」
「そうそう、やっぱもう俺たちは仲間だぜ」
「うん……! ありがとう、がんばろう!」
「この任務が無事終わったら、宴をしようぜ。報酬もすげえからな!」
こうして俺たちは決起集会をした後、準備を整える。
とうとう、俺達が最初から狙っていた任務に向かうことになる。
◇ ◇ ◇
リドウェル近郊の巨大迷宮"多層洞窟"。
その名の通り、多層に連なる洞窟が続いており、その階層は全部で8個ある。
俺たちは上層にいるヘルハウンドや中層に居るオークをひたすら狩り、徐々に下層へと突き進む。
既に中層までは事前に来ており(というかこの依頼の為に他の依頼で来ておいたと言ったほうが正しい)、その探索はスムーズに進んだ。
今回のターゲットはジェネラルオーク。
このダンジョンのオークを束ねる凶悪な魔物。赤階級四人以上の高難易度任務だ。
ただ、ジェネラルオーク自体はさほど珍しいものではない。ようはボス猿みたいなもので、各群れに一体はいる魔物なのだ。
『ジェネラルオークは単体での戦闘力はそれほど高くないわ。一番厄介なのは常にオークの群れの中心にいること。その物量で、ソロの冒険者じゃ手を出すのは命取りなの』
と、カスミは探索中ジェネラルオークについての講義をしてくれる。
「じゃあ、連携が取れないときついってこと?」
『そういうこと。今までリーズたちとやってきたオークはあくまで単体の群れ。けれど、ジェネラルオークは違う。奴が指示を出し、オークが動く。動き方が今までより何段階も統率されれていると思った方がいいわ』
なるほど……。それがジェネラルオークがパーティでの討伐推奨な理由か。
確かにソロだと骨が折れそうだ。
だけど、きっとこのパーティならやれる。
俺はこの人たちがもう好きになっていた。
アラン兄さんや、シオンさんにカレンさん。キルルカさんや、セシリア。
今まで助けてくれたり、一緒に協力したり、良くしてくれる人たちは沢山現れた。
こんな俺にも、そういう人たちがたくさんできた。
そして、リーズやシア、オッズも俺のことを尊重し、そして頼ってくれる。
これがパーティなんだ。
「おらあああ!!」
リーズが先陣を切り、オークを燃やしていく。
それをすかさずオッズやシアのサポートにより、援護していく。
「ホロウ! スイッチ行けるか!」
俺はカスミを握り、ニィっと口角を上げる。
「もちろん! 任せて!」
俺は一気に跳躍し、オークへ刀を滑らせる。
真ん中からパックリと切り裂かれたオークが、左右に分かれる。
「さっすが……!」
「次来る! 気を付けて!」
「もちろん!」
◇ ◇ ◇
「ふぅ……そろそろか」
迫りくるオークの群れを何度か退け、いよいよ最深部――第八層へと到達した。
今までの階層と明らかに雰囲気が違う。
ぬめっとした洞窟の岩肌が、手に持った松明の光を反射して怪しく光る。
ゆっくりと奥へと進んでいき、そして。
「止まれ」
リーズが右手を伸ばして後続の俺達を止める。
「……居たぞ」
リーズはギルド前に集まるパーティメンバーに向かってそう問いかける。
「当たり前よ、この日を待っていたわ!」
とシア。
「リーズについていけば間違いないから」
とオッズ。
そして三人ともが俺を見る。
「期待してるぜルーキー! 俺達のパーティの最後のピースだ」
そう言い、リーズはニカッと笑う。
「そうよ、みんな期待してるんだから。というか、ホロウ君ならやれる!」
「そうだよ、正直リーズより安心でき――」
とオッズが口走ったところで、リーズのツッコミが入る。
「う、うるせえ! いいか、今回はいつもと違う依頼なんだからな、気合入れろよ!」
「わかってるわよ、これの為のメンバー増強だしね」
「その通り! ここ数日で俺たちは即席パーティではなく真のパーティになれた! オークの討伐も順調だし、連携も申し分ない!」
確かに、ここ最近の快進撃は凄かった。
俺たちは前衛2人、後衛2人という完璧なバランスで陣形を組み、ダンジョンを深くまで探索していた。
ヘルハウンドやオークにはもう殆ど手こずらないようになってきた。
まだ数が多いとごちゃつくけど、以前ほどじゃない。周りの赤階級と比べても頭一つ抜けているだろう。
『そうね、良いパーティに入れたわね』
「やっぱりそう思う?」
『ええ。仲間ってやっぱり大事だからね。一人で強くなるのも良いけど、仲間と背中合わせで戦う経験っていうのは貴重なものよ』
いつもよりどこか懐かしむような口調のカスミ。
いつかの記憶なのだろうか。
「いけるか、ホロウ?」
リーズがそう問いかける。
「もちろん! 俺なんかを入れてくれてありがとう。絶対役に立ってみせるよ」
「その意気だぜ! それでこそ前衛、いい心がけだ!」
「まあなんかあったら回復してあげるから任せて。安心して骨の一本や二本折れてもいいわよ」
「ちょ、ちょっとシアの回復魔術じゃ骨は治らないんじゃ……」
「あはは、ホロウ君も私にツッコめるようになったわね」
とみんなが一斉に笑う。
「え、えっと……」
「それだけ仲が深まったって事! 別に馬鹿にしてる訳じゃないわよ」
「そうそう、やっぱもう俺たちは仲間だぜ」
「うん……! ありがとう、がんばろう!」
「この任務が無事終わったら、宴をしようぜ。報酬もすげえからな!」
こうして俺たちは決起集会をした後、準備を整える。
とうとう、俺達が最初から狙っていた任務に向かうことになる。
◇ ◇ ◇
リドウェル近郊の巨大迷宮"多層洞窟"。
その名の通り、多層に連なる洞窟が続いており、その階層は全部で8個ある。
俺たちは上層にいるヘルハウンドや中層に居るオークをひたすら狩り、徐々に下層へと突き進む。
既に中層までは事前に来ており(というかこの依頼の為に他の依頼で来ておいたと言ったほうが正しい)、その探索はスムーズに進んだ。
今回のターゲットはジェネラルオーク。
このダンジョンのオークを束ねる凶悪な魔物。赤階級四人以上の高難易度任務だ。
ただ、ジェネラルオーク自体はさほど珍しいものではない。ようはボス猿みたいなもので、各群れに一体はいる魔物なのだ。
『ジェネラルオークは単体での戦闘力はそれほど高くないわ。一番厄介なのは常にオークの群れの中心にいること。その物量で、ソロの冒険者じゃ手を出すのは命取りなの』
と、カスミは探索中ジェネラルオークについての講義をしてくれる。
「じゃあ、連携が取れないときついってこと?」
『そういうこと。今までリーズたちとやってきたオークはあくまで単体の群れ。けれど、ジェネラルオークは違う。奴が指示を出し、オークが動く。動き方が今までより何段階も統率されれていると思った方がいいわ』
なるほど……。それがジェネラルオークがパーティでの討伐推奨な理由か。
確かにソロだと骨が折れそうだ。
だけど、きっとこのパーティならやれる。
俺はこの人たちがもう好きになっていた。
アラン兄さんや、シオンさんにカレンさん。キルルカさんや、セシリア。
今まで助けてくれたり、一緒に協力したり、良くしてくれる人たちは沢山現れた。
こんな俺にも、そういう人たちがたくさんできた。
そして、リーズやシア、オッズも俺のことを尊重し、そして頼ってくれる。
これがパーティなんだ。
「おらあああ!!」
リーズが先陣を切り、オークを燃やしていく。
それをすかさずオッズやシアのサポートにより、援護していく。
「ホロウ! スイッチ行けるか!」
俺はカスミを握り、ニィっと口角を上げる。
「もちろん! 任せて!」
俺は一気に跳躍し、オークへ刀を滑らせる。
真ん中からパックリと切り裂かれたオークが、左右に分かれる。
「さっすが……!」
「次来る! 気を付けて!」
「もちろん!」
◇ ◇ ◇
「ふぅ……そろそろか」
迫りくるオークの群れを何度か退け、いよいよ最深部――第八層へと到達した。
今までの階層と明らかに雰囲気が違う。
ぬめっとした洞窟の岩肌が、手に持った松明の光を反射して怪しく光る。
ゆっくりと奥へと進んでいき、そして。
「止まれ」
リーズが右手を伸ばして後続の俺達を止める。
「……居たぞ」