「あなたは?」
「俺は赤階級冒険者のリーズ、実はちょうどもう一人パーティメンバーを探していてさ」
そう言い、リーズは後ろの冒険者を指さす。
そこには大男一人、少女一人が立っており、ぺこりと会釈する。
「パーティメンバーって言うと……何か大物でも狙っているんですか?」
「"多層洞窟"は知ってるだろ? あそこの中層にジェネラルオークが居着いてるらしくてさ。その討伐依頼が出ているんだけど、受注条件が赤階級4人以上、または蒼階級2人以上ってなってるんだ」
「あぁ、それで一人足りないと」
「そういうこと」
「でもなんで俺に?」
すると、リーズはこそっと俺に近寄る。
「君、"魔断の剣士"だろ?」
「! 噂ってそんな広まってるんだ……」
「はは、まあね。君の力なら絶対俺達上手くいくと思うんだ! どうだろう、ずっとパーティ組もうって訳じゃないよ、君だって討伐依頼をやりたいと思ってたんじゃないか?」
俺はカスミと顔を合わせる。
「あっと、そっちの女の子はパーティだった?」
「いや、カスミは違うよ」
「そうか。ほら、騎士団とやりあったって噂だろ? そんな力の持ち主なら是非とも一緒に任務をやりたいなと思ってさ」
「その噂は――」
「いや、いいよ本当のところは。そういう噂が流れるって時点でそれなりの実力だっていうのはわかってるからさ。真偽はどちらでもいいんだ。実は僕俺たち、前衛が俺一人で少し攻撃力に欠けていてね、是非魔剣士である君に協力をお願いしたいというか……」
ああなる程。俺を魔術が斬れる魔剣士だと思っているのか。
困ったな、魔術が使えないって言ったら嫌な顔されそうだな……。
でも騙すわけにはいかないし……。
俺は恐る恐るリーズに告げる。
「実は俺、魔術使えないんだ」
「え!?」
「だから魔剣士じゃないって訳。剣術しか使えない。申し訳ないんだけど……」
一瞬の間。
しかし、リーズは思っていなかった反応を見せる。
「凄い、剣術だけであの騎士団とやりあったのか!?」
「え、えっとまあ……」
「凄い才能だよ!」
「え?」
「俺たちはサポート魔術師二人と攻撃魔術の俺の三人パーティなんだ、もう一人が前衛として剣士として戦ってくれる……しかも魔術を斬れるときた! 俺は全然問題ないと思う!」
リーズは目を輝かせてそう力説する。
まさか、魔術を使えない俺をこんなに認めてくれる男がいるとは。
つい先日、同じようにパーティを組まないかといってきた奴が居た。
でも俺が魔術を使えないというとゴミでも見るような目で去っていた。
俺はまたそういう反応をされると覚悟していたんだが……。
「いいんじゃない、ホロウ」
「かな」
「うん、念願の骨のある魔物とも戦えるし、願ったり叶ったりじゃない?」
そうだ、今まで手を出せなかったパーティ前提の上位依頼。
このチャンスを逃すわけにはいかない。それに、そのままの俺を受け入れてくれるパーティだ、まさにぴったりじゃないか……!
「そうだな……一歩踏み出す時かもしれない」
俺はリーズに向き直る。
「えっと……じゃあ少しの間かも知れないけど、よろしくお願いしてもいい……かな?」
「もちろん!」
「やったあ!」
「ナイスリーズ!」
後ろの二人と合わせて、三人は俺の加入に大喜びしている。
なんだかこっちまで嬉しくなってくるな。
「それじゃあ、軽く自己紹介といこう。"不夜城"でいいかな?」
◇ ◇ ◇
酒場"不夜城"。
多くの冒険者や、その他夜まで働く人たちが集まる酒場。
特に依頼帰りの冒険者は殆どが利用する安くてそこそこ美味い酒場だ。
「じゃあ、次の依頼だけだが、ホロウの助っ人加入に乾杯!!」
「「「かんぱーい!」」」
俺たちは飲み物(俺以外はお酒)をごくりと飲み込む。
「えーっと、俺が一応リーダーのリーズ・イグナイト。使う魔術は"炎魔術"だ」
黒髪の好青年。歳はカレンさんたちと同じくらいだろうか。
「リーズの炎は敵味方関係なく燃やし尽くすけどね」
「お、おい新入りの前でそんなこと言うなよシア!」
「ふふ。――えっと私はシア・ホワイト。後衛で回復魔術を使うわ」
「シアの回復は結構しみるぞ」
「うるさいな!」
シアはリーズにケリを入れる。
シアさんは赤髪のボブヘア。活発そうな見た目だ。
そして、最後の長身の茶髪の男性。
「俺はオッズ・ウェル。前衛――といいたいところだが、この見た目で使う魔術は探索魔術だ。戦闘ではあんまり役に立たない、申し訳ないけど……」
「何言ってるの、オッズの探索でいっつも助かってるじゃん」
「そうだぜ、オッズ。オッズが居なきゃ何度死んでたことか……」
「で、最後新入り! 自己紹介お願いできるか?」
「は、はい!」
俺は言われて立ち上がる。
三人が、キラキラした目で俺を見る。
「えーっと……ホロウ・ヴァーミリアです。魔術は使えないけど……剣の腕なら誰にも負けません!」
「おお、大きく出たな!」
「ひゅーひゅー! かっこいいよホロウ君!」
「期待できる新人だな!」
全員の拍手の中、俺はぺこぺこと頭を下げ座る。
こうして俺たちはいろんな話をして盛り上がった。
今までリーズたちが達成してきた依頼の話や、ムカつく依頼者の話。
とにかくいろんな話をした。
久しぶりに他愛のない話をして、俺の心は満たされていた。
彼らとなら依頼もきっとうまくいく。
そんな気がした。
「俺は赤階級冒険者のリーズ、実はちょうどもう一人パーティメンバーを探していてさ」
そう言い、リーズは後ろの冒険者を指さす。
そこには大男一人、少女一人が立っており、ぺこりと会釈する。
「パーティメンバーって言うと……何か大物でも狙っているんですか?」
「"多層洞窟"は知ってるだろ? あそこの中層にジェネラルオークが居着いてるらしくてさ。その討伐依頼が出ているんだけど、受注条件が赤階級4人以上、または蒼階級2人以上ってなってるんだ」
「あぁ、それで一人足りないと」
「そういうこと」
「でもなんで俺に?」
すると、リーズはこそっと俺に近寄る。
「君、"魔断の剣士"だろ?」
「! 噂ってそんな広まってるんだ……」
「はは、まあね。君の力なら絶対俺達上手くいくと思うんだ! どうだろう、ずっとパーティ組もうって訳じゃないよ、君だって討伐依頼をやりたいと思ってたんじゃないか?」
俺はカスミと顔を合わせる。
「あっと、そっちの女の子はパーティだった?」
「いや、カスミは違うよ」
「そうか。ほら、騎士団とやりあったって噂だろ? そんな力の持ち主なら是非とも一緒に任務をやりたいなと思ってさ」
「その噂は――」
「いや、いいよ本当のところは。そういう噂が流れるって時点でそれなりの実力だっていうのはわかってるからさ。真偽はどちらでもいいんだ。実は僕俺たち、前衛が俺一人で少し攻撃力に欠けていてね、是非魔剣士である君に協力をお願いしたいというか……」
ああなる程。俺を魔術が斬れる魔剣士だと思っているのか。
困ったな、魔術が使えないって言ったら嫌な顔されそうだな……。
でも騙すわけにはいかないし……。
俺は恐る恐るリーズに告げる。
「実は俺、魔術使えないんだ」
「え!?」
「だから魔剣士じゃないって訳。剣術しか使えない。申し訳ないんだけど……」
一瞬の間。
しかし、リーズは思っていなかった反応を見せる。
「凄い、剣術だけであの騎士団とやりあったのか!?」
「え、えっとまあ……」
「凄い才能だよ!」
「え?」
「俺たちはサポート魔術師二人と攻撃魔術の俺の三人パーティなんだ、もう一人が前衛として剣士として戦ってくれる……しかも魔術を斬れるときた! 俺は全然問題ないと思う!」
リーズは目を輝かせてそう力説する。
まさか、魔術を使えない俺をこんなに認めてくれる男がいるとは。
つい先日、同じようにパーティを組まないかといってきた奴が居た。
でも俺が魔術を使えないというとゴミでも見るような目で去っていた。
俺はまたそういう反応をされると覚悟していたんだが……。
「いいんじゃない、ホロウ」
「かな」
「うん、念願の骨のある魔物とも戦えるし、願ったり叶ったりじゃない?」
そうだ、今まで手を出せなかったパーティ前提の上位依頼。
このチャンスを逃すわけにはいかない。それに、そのままの俺を受け入れてくれるパーティだ、まさにぴったりじゃないか……!
「そうだな……一歩踏み出す時かもしれない」
俺はリーズに向き直る。
「えっと……じゃあ少しの間かも知れないけど、よろしくお願いしてもいい……かな?」
「もちろん!」
「やったあ!」
「ナイスリーズ!」
後ろの二人と合わせて、三人は俺の加入に大喜びしている。
なんだかこっちまで嬉しくなってくるな。
「それじゃあ、軽く自己紹介といこう。"不夜城"でいいかな?」
◇ ◇ ◇
酒場"不夜城"。
多くの冒険者や、その他夜まで働く人たちが集まる酒場。
特に依頼帰りの冒険者は殆どが利用する安くてそこそこ美味い酒場だ。
「じゃあ、次の依頼だけだが、ホロウの助っ人加入に乾杯!!」
「「「かんぱーい!」」」
俺たちは飲み物(俺以外はお酒)をごくりと飲み込む。
「えーっと、俺が一応リーダーのリーズ・イグナイト。使う魔術は"炎魔術"だ」
黒髪の好青年。歳はカレンさんたちと同じくらいだろうか。
「リーズの炎は敵味方関係なく燃やし尽くすけどね」
「お、おい新入りの前でそんなこと言うなよシア!」
「ふふ。――えっと私はシア・ホワイト。後衛で回復魔術を使うわ」
「シアの回復は結構しみるぞ」
「うるさいな!」
シアはリーズにケリを入れる。
シアさんは赤髪のボブヘア。活発そうな見た目だ。
そして、最後の長身の茶髪の男性。
「俺はオッズ・ウェル。前衛――といいたいところだが、この見た目で使う魔術は探索魔術だ。戦闘ではあんまり役に立たない、申し訳ないけど……」
「何言ってるの、オッズの探索でいっつも助かってるじゃん」
「そうだぜ、オッズ。オッズが居なきゃ何度死んでたことか……」
「で、最後新入り! 自己紹介お願いできるか?」
「は、はい!」
俺は言われて立ち上がる。
三人が、キラキラした目で俺を見る。
「えーっと……ホロウ・ヴァーミリアです。魔術は使えないけど……剣の腕なら誰にも負けません!」
「おお、大きく出たな!」
「ひゅーひゅー! かっこいいよホロウ君!」
「期待できる新人だな!」
全員の拍手の中、俺はぺこぺこと頭を下げ座る。
こうして俺たちはいろんな話をして盛り上がった。
今までリーズたちが達成してきた依頼の話や、ムカつく依頼者の話。
とにかくいろんな話をした。
久しぶりに他愛のない話をして、俺の心は満たされていた。
彼らとなら依頼もきっとうまくいく。
そんな気がした。