するとるか様が、ムッとした。

「我に浮気をしろと言うのか。」

「浮気心ではなく、本気です。」

るか様は、じーっと私を見つめた。

「そなたがいるのに、なぜほのを抱かなければいけない。」

「ほのさんは、るか様を本気で好きなんです。」

そう言うと、るか様は正面を向いた。

「だとしたら、尚更ほのを抱けぬ。」

るか様は目を閉じて、口を真っすぐに閉じた。

「るか様、私からのお願いです。」

私は、目の前に三つ指をついた。

「ほのさんの想いを、叶えてあげてください。」

頭も床に付くくらいに下げた。

るか様がちらっと、私を見ているのが分かった。

「この通りです。」

どのくらい、頭を下げただろう。

シーンと静まり返る中、しばらくしてるか様のため息が聞こえた。

「……一度でいいのか。」

私は顔を上げた。

「はい!」