「お父さん、私が生贄になるわ。」

「つき!?」

「私は織田家の人間だもの。水神様だって、満足してくれるでしょ?」

するとときは、立ち上がって私を抱きしめた。

「ああ、つき。ありがとう。本当にありがとう。」

この一言で、私は生贄になった。


そして翌日。

私は嫁入り衣装を着て、水神様の池に向かった。

驚いたのは、はやてだった。

「どうして……つきが生贄に?」

はやては、村の人々に抑え込まれた。

「つき!つき!」

私はにこっと笑うと、はやてを振り切って、生贄の列に並んだ。

「では、出立!」

嫁入り道具と一緒に、私達は一歩一歩、水神様の池に近づいて行く。


そして昼頃、水神様の池は見えて来た。

大きな池。

あやかしが住んでいても、全く違和感のない澄み切った水。

これからここが、私の住む場所になるんだ。