そこに、鯛の頭をした人が、湖の中から神殿に飛び込んできた。

「ぐぇっ!」

「鯛さん!」

鯛さんは、床に倒れたまま、苦しがっている。

「大丈夫?鯛さん!」

側に行くと、鯛さんは呼吸困難みたいになっていた。

「一体……何を……したんだ……」

「あの岩の上にある祠を、動かしたの。雨を降らせようと思って。」

「雨どころじゃ……ない……土砂降りに……なっている……」

「ええっ!」

私は、口元に手を当てた。

村は雨が土砂降りになったら、洪水になりやすいのに!


「どうしよう……もう祠を戻さないと。」

私は水の流れに入って、もう一度岩を登ろうとした。

「もう少し……」

でも、水の勢いがすごくて、足を滑らせた。


一瞬だった。

水の流れの中に、私は吸い込まれてしまった。

あっという間に、社殿から湖の中に、流されていく。