すると、目の前に穴が見えて、その中に小さな祠が見えた。

その祠の後ろが、水で濡れている。

「見つけた。これを少し動かせばいいのね。」

私は最後の力を振り絞って、祠に手を伸ばした。

祠に、手が当たる。

「ちょっとだけ。」

手で祠をつついても、動かない。

小さいクセに、重いのだ。

「えいっ、動け!」

押しても、動かない。

こうなったら、蹴るしかない?


良家の娘が、岩壁をよじ登って、石を蹴るだなんて。

誰かに見られていたら、恥ずかしくて死んでしまう!


「ええい!今は誰もいないんだから、恥ずかしがる必要はないわ!」

そして私は穴に手を着いて、もう少し岩をよじ登った。

「うー!」

力を入れて、身体を上に上げると、穴の中に膝を着いた。

「こらっ、動け!」

穴の中に足を入れ、私は祠を蹴った。