私は右側の石づくりの壁から、祠を探した。

ゴツゴツした岩が沢山あって、祠があるっぽい。


「ここでもない。」

一つ一つ探していくと、ちょっと上の方に、隙間があるのが見えた。

「もしかして。」

私はその前で、飛び跳ねた。

すると、穴の奥に何か別な石があった。

「あった。あれだわ。」

でも、さすがに背伸びするだけでは、祠に届かない。

「昇るしかなさそうね。」

女が岩を昇るなんて、はしたない事だとは分かっている。

でも、昇らないと雨は降らない。

「やるのよ、つき。」

私は上の方の岩に手を伸ばすと、岩壁を昇った。


「くっ……」

身体を上に持っていくだけで、すごくつらい。

そして足を上げてよじ登ると、また身体が上に上がった。

「もう少し。」

また腕を上げて、岩壁を昇った。