「あくまで、噂ですよ。」

「それでもいいの。どこにあるの?教えてちょうだい。」

「それが、どこにあるのかは、分からないんです。恐らく、るか様のいる神殿の中のどこかに。」

「あの場所のどこかね。」

私は、廊下に出た。

「でも、るか様はその祠を、教えてくれません。」

「探せばいいじゃない。」

「勝手に触ると、るか様に怒られますよ。」

ほのさんが、後ろをついてくる。

そして私達は、るか様のいる神殿の前に着いた。


今日もるか様は、外に向かって、じっと座っている。

「要するにるか様のいない時に、探せばいいんでしょう。」

「るか様が、ここにいない時なんて、ないですよ。この前見張っていて、分かったじゃないですか。」

そうだ。

るか様は、一日中ここにいて、動かなかった。

「そうだ。夜は?いくらなんでも、夜は休むでしょう。」

「確かに……」

私はほのさんの横を通り抜けた。

「つき様!」

「大丈夫。ほのさんに教えて貰ったなんて、言わないし。」