「そうね。」

そして私達は、部屋に戻ると、鯛の頭をした人が、また倒れているのを見た。

「鯛さんっ!」

三度も見ると、さすがに見慣れてくる。

でも不思議なのは、どうしていつも、私の部屋で倒れているかと言う事だ。

「ああ、奥方!」

そして、私の事を奥方と呼ぶのも、不思議だ。

「先ほど、雨が降りましたな。」

「そうなの!雨が降ったのよ!」

「でも、喜ぶのはつかの間ですぞ!」

「えっ?」

鯛さんは、頭を左右に振った。

「もう既に雨は上がっていて、雨は雨でも通り雨っちゅう。」

「ええっ!?」

通り雨じゃあ、日照りは解消されないじゃない。

「そんなあ!」

私の胸の中には、悲しみと悔しい気持ちが混ざった。