そんな私の目に、るか様の短刀が見えた。

「お許しください。」

るか様の懐から、短刀を引き抜き、鞘から刀を抜いた。

「何をする!」

「これ以上は、待てません!もう雨を降らせる気がないのなら、私は命を絶ちます!」

そして私が、首筋に刀を当てた時だ。


「もう止めよ。」

るか様が、私の手を止めた。

「分かった。雨を降らせよう。」

「るか様……」

るか様は立ち上がると、天に向かって、両手を挙げた。

すると、湖の水が天に上がっていく。

「これで、村に雨が降るだろう。」


そしてしばらくして、雨の匂いがした。

本当に雨が降るの?

私は社殿から、湖を覗いた。

雨が降っている。

森の木がしっとりと濡れている。