とは言っても、るか様のいる時に、行く訳にはいかない。

私は忍び足で、るか様のいる場所に行くと、壁の裏に隠れた。


いくらるか様でも、一日中あそこに座っている訳ない。

ちょっと席を外した時に、外の世界を見てみよう。

けれど、その考えは甘かった。

るか様は、なかなか立ち上がらない。

ずっと、あそこに座っているのだ。


「あら、つき様。何をなさっているんですか?」

「しー。」

ずっと壁に隠れながら、るか様を見ている私を、ほのさんが見つけた。

「ほのさん、るか様はあそこで、何をされているんですか?」

「そうですね。湖が何事もないよう、見張っていると言ったら、いいんですかね。」

「湖を見張っている?」

「ええ。湖に何かあったら、この屋敷も無くなってしまいますから。」


そんな、自分の住んでいる場所は、そんなに心配して。

もうちょっと、村の事を考えてよ。

私はイライラしながら、るか様を見つめた。