胸がドキドキする。

本当、るか様は時々、女を幸せにする魔法の言葉を知っている。

たぶん、長い間生きているから、知っているのだと思うけれど。


一瞬、考えた。

今までの奥方様には、るか様は本当の恋をしていたのか。

私は、首を横に振った。

そんな事考えても、仕方がない。

私がいない時の話なのだから。


「雨の件は、考える。」

「本当ですか?」

私は、るか様の顔を覗き込んだ。

「疑うのか。」

「だって、この前も考えると言って、約束を果たしてくれませんでした。」

るか様は、細い目で私を見た。

「そうだな。悪かった。」

「今回は、大丈夫ですか。信じても。」

だけど、るか様からの返事はなかった。