「……るか様が望むのなら。」

目を瞑ると、冷たい空気が、顔の上を流れた。

「ん?」

片眼を開けると、るか様がいない。

「るか様?」

起き上がると、るか様は背中を向けていた。


もうお決まりの姿。

ご機嫌を損ねた時は、いつも背中を向ける。


「あの……また、怒らせました?」

「怒ってはいない。」

「じゃあ、なぜ不機嫌に?」

ゆっくりとこちらを向いたるか様。

「分からないのか。」

「分かりません。」

どうしてるか様が機嫌を悪くしてるかなんて、こっちが聞きたいよ。

「我は、そなたの身体が欲しいのではない。」

「へ?」

「そなたの”心”が欲しいのだ。」

私の目が点になった。