そして若者達は無事、その日の夕方に、村に帰って来た。

「どうだった?供物は?」

「無事、底に沈んで行ったよ。」


あの池には、不思議な現象があって、供物を池の中に投げて、水神様が気に入ってくれると、底に沈んで行って浮かんで来なくなるのだ。

「野菜も米も、全部沈んで行った。これで日照りが無くなればいいな。」

「そうね。でも無事、はやてが帰って来てくれてよかった。」

私達は、お互いを抱きしめ合った。

ふと、はやての後ろを見ると、ときが私達の事を見ていた。

何となく気になって、はやてから体を放した。


「じゃあね、はやて。」

「ああ、また。」

結婚していない若者同士が、長く一緒にいると、村人から何か言われる。

そんな風潮が、この村にはあった。

「はやて。」

私がはやてから離れると、代わりにときが、はやての側に来た。

「はやてとつきは、仲いいのね。結婚するの?」

結婚!?

その言葉に、急にドキドキした。