なぜか私の胸が、締め付けられた。

そうだよね。

他の人が好きだって、結婚しなかったのに。

今は好きですなんて、私だって言えない。


「だから、るか様がつき様の事、惚れていらっしゃるのは私にとって、辛い事ですけど。お二人は、結婚していらっしゃるのだし。」

「惚れてるって……」

かぁーっと顔が熱くなった。

人に言われると、何だか照れる。

「私に構わず、夫婦仲良くしてください。」

ほのさんはそう言って、ニコッと笑った。


「では、私はこれで。」

ほのさんが行こうとして、私は何を思ったのか、ほのさんの腕を掴んでしまった。

「あっ、ええーっと……」

何で掴んでしまったのか、分からない。

「その、一つ気になる事があって。」

そして私は、ほのさんの腕を放した。

「……ほのさんとるか様は、恋人同士だった事はないのですか?」

「ありませんよ。」