そんな伝説があるんだったら、私も自害すればよかったかな。

「この湖に生贄になった女性は、皆、るか様のお嫁さんに?」

「ええ。と言っても、生贄は本当に困った時だけで、今までも4,5人しかいないはずですよ。」

「4.5人……」

その内の一人に選ばれてしまった自分。

特別感というより、なぜ選ばれてしまったのだろうと思う。


「でも、今回るか様は、日照りを解消してくれなかったわ。」

「えっ?」

ほのさんは、気の毒そうに私を見た。

「今までは、雨を降らせてきたというのに、どうしてでしょう。」

私は息を止めた。

今までは、雨を降らせてくれていた?

「じゃあ、なぜ私の時は、雨を降らせてくれないの?」

「さあ……」

私は立ち上がった。

「もう我慢できない。るか様に直談判してくる。」

「つき様、あの……」

私は、ほのさんが止めるのも聞かず、部屋を出た。