「るか様。」

私はるか様にしがみついた。

「私、るか様の事を大切にします。妻として、あなたの役に立ちますから。」

するとるか様は、私の手を払いのけた。

「身近な世話は、ほのがしてくれる。おまえが私の役に立つ事はない。」


そして、一つの疑問が生まれた。

「では、なぜ。ほのさんを妻に迎えなかったのですか?」

「ほのは、湖の中に入った後、自害したんだ。我のモノになりたくなくてな。」

「えっ……」

「ほのもそうよ。他の男を想っていた。そんな女人と結婚できるか。」

目に涙が溜まってきた。

この人は、ずっと一人だったんだろうか。


「もういい。ここから出て行け。」

「るか様……」

「日照りの件は考えておく。」

そう言ってるか様は、私に背中を向けた。

私はそっと立ち上がって、るか様の元を離れた。


どうしよう。

村人が飢饉で死んだら。

きっと、私のせいだ。