水神様の池がある山の中には、熊や蛇がいて、中には命を落とす者もいた。

それだけ水神様の池に行くと言う事は、命がけの行為だった。

でも供物を気に入ってくれれば、水神様もこの日照りを何とかしてくれるかもしれない。

皆、その為に水神様に、お参りに行くのだ。


「はやて、無事だといいね。」

振り返ると、村の女の子で歳が近い、ときが立っていた。

「そうだね。」

ときも、はやての事が好きだった。

彼女の態度を見ていれば分かった。


「ねえ、つき。このまま日照りが続いて、干ばつが起きたら、生贄を探す事になるって、本当?」

「生贄?」

背筋がゾクッとした。

聞いた事がある。

神様に捧げる為に、若い女を、生きたまま池に投げるのだと。

「早く、日照りが終わって欲しいね。」

「そうだね。」

若い女は、否応なしに生贄の対象になる。

日照りや干ばつは、他人事ではなかった。