るか様は、今までもこんな表情をしていたの？

「嫁にやるからと受け取った女人は、他の男を好いていた。」

私は、下を向いた。

「他の男を好いていた女人は、いくら愛情を注いでも、我に心を向けなかった。」

胸が痛い。

るか様の気持ちが、痛い程分かる。

「だが、おまえは違うと思った。」

「えっ？」

「おまえは豪族の娘だからな。嫁入り前に他の男は寄せ付けないだろうと思っていた。」


確かに。

父は私の周りに、男を寄せ付けなかった。

だけど、はやてだけは違った。

一緒に遊んで寝て、兄弟のように一緒に過ごした。

だから？だからはやてだけは、私と一緒にいられたの？


「おまえは、心に想う男がいるのだろう？」

はやての顔が浮かんでは、消える。

私は、はやてだったら、結婚してもいいと思っていた。

「なのに我は、おまえを迎い入れてしまった。」

悲しい表情。

私はそんなに、るか様を落胆させたの？