「ああ……るか様は、ほとんど何も食べないのですよ。」

「そうなんですか?」

「神様って、あまり食事をされないんですよ。」

「へえ。」

じゃあ、あんなにお供え物をした食べ物は、どこにあるんだろう。

不思議に思った。


「それにしても、婚礼の翌朝くらい、一緒に朝ご飯を食べたらいいものを。るか様って、本当に女心を分かっていない方。」

女の人は、ため息をついた。

「あら、ごめんなさい。奥方様の前で、こんな事を言ってしまって。」

「いいえ。私はるか様の事を、何も知らないから。逆に教えて欲しいわ。」

私がニコッと笑うと、女の人は安心したようだ。


「ところで、名前を聞いていなかったわね。」

「あら、そうでしたわ。ほのと申します。私も生贄だった事は、お話しましたね。」

「そうね。」

自分の事を生贄って言えちゃうなんて、精神的に強いんだろうなぁ。

「ほのさんも、るか様に受け入れられて、この屋敷に来たの?」

「ええ、そのようですね。」

ほのさんは、恥ずかしそうに顔を袖で隠した。