そして見えて来たのは、大広間だった。

そこには、魚の頭をした人達が座っていた。

「ひっ!」

「しー。直に慣れるわよ。」

女の人は、私を連れて、大広間の中央へと進んだ。

そして、座るように言われると、大広間にあの人が現れた。

スーッスーッという衣擦れの音がして、あの人は私の目の前に座った。


「我はるかと申す。そなた、名は?」

「織田つきと申します。」

「名門、織田家の娘か。よい家柄から嫁を貰った。」

そして魚の頭をした人達が、私達にお酒を渡す。

何度見ても奇妙だ。

「では、るか様とつき様の遥かなるご縁をお祈りして、三々九度の盃を。」

始めは、るか様が、お酒を飲む。

その真似をして、私もお酒を飲んだ。

初めての味に、くらくらする。


「では、皆の衆。二人の結婚を祝って、今日は騒げ。」

鯛の頭をした人が、皆を盛り上げる。

でもよく考えてみたら、鯛って湖にいないのでは?

そして周りを見ると、確かに湖にいない魚の頭ばかり。