夜になり、屋敷に灯りがポツポツと灯り始める。

それを見て、ここが湖の中でも、異世界に繋がっているのだと感じた。


「お待たせしました。」

先程の女の人が、また部屋の中に入って来た。

「お衣装、乾いてよかった。」

女の人の手には、私が湖に身を投げる時に着ていた嫁入り衣装があった。

「さあ、これに着替えて。」

女の人は、衣装を広げた。

「そう言えば、まだ名前も聞いてなかったね。」

「……つきと言います。」

「そう。家は農家?」

「いえ、一応豪族と呼ばれる家で。」

「やだ。もしかして織田家?」

女の人は、すごく驚いていた。

「だから、こんなに立派な花嫁衣裳を用意できたのね。」

私が着て来た花嫁衣裳は、豪華な物だったらしい。

「私の時は、粗末でね。」

「私の時は?」

私の質問にも、女の人は笑顔で答えてくれた。