「嬉しいじゃん。」
「え?」
「綺麗な部屋で過ごしたほうが気分晴れやか。そんな母ちゃん見たくて、掃除覚えた。」
アギトは学習机のイスに座ったまま続ける。
「母ちゃんが食べたいって言ったお菓子練習して、早く一緒にゆっくりできるように皿洗いも覚えた。」
「母ちゃん、母ちゃんって、もしかして…。」
「違う違う! マザコンなんかじゃねぇよ。普通に母ちゃん好きなだけだ。」
ツーブロックの頭頂部にパーマをかけ、腰からはジャラジャラ鎖を下げている。イカつい見た目から「母ちゃん」と出てくるたびにカノンは笑いをこらえるのに必死だった。
「こんなに母ちゃん大好きな人が、女の子にケガさせる?」
カノンが問いかけるとアギトはイスをクルリと回して、背を向けた。
「そうすりゃー、1番丸く収まるって騙された。やっぱわかるやつにはわかるんだな。」
アギトの話では、イケメンの暴れん坊が女の子に殴りかかったのをかばって揉み合いになり、イケメンの拳が女の子をケガさせたらしい。
「オレ、頭わりーからよ。早く終わらせちまいたいのが勝っちまったんだよな。」
その場に居た人が残されて、長々と事情の確認をされるのに疲れてしまったらしい。しかも女の子とイケメンはアギトがやったと言うもんだから、戦っても勝ち目がなかったらしい。
「アギトくんって、どこまで優男なの? 早く解放してあげたくて引き受けたってわけ?」
カノンの問いかけにアギトはコックリうなずいた。
「母ちゃんに『かわいい女の子泣かすな』って口酸っぱく言われてっからよ。ミス米町のお前の部屋も綺麗にして喜ばせてみたくなった。…あーん!? なに笑ってんだよ!」
「アギトくん、ホントいいやつ。」
「笑うなー!」
真面目に話すイカついアギトに、カノンはすっかりほれてしまっている。アギトの顔はどんどん赤くなっていく。
「ねぇ。」
「あーん?」
カノンは意を決してベッドにデデンと尻を沈めた。
「アギトくん。わいのツレになってくれない? わいの夫で、わいふってやつ! どう?」
「おまえ、ほんっとうに頭わりーな。オレのツレなんて、苦労するに決まってんだろ。」
ブー!
聞こえた。聞こえてしまった…。
ベッドの中から肉が空気に震わされる音が…。
「おまえ、マジかよ…。このタイミングでこく?」
カノンは何も言えずにただただ顔を赤くしている。
「まさか、すかすために布団に座ったのか?」
アギトが睨みをきかせる中、カノンは両手で顔を覆っている。
「いいぞ。」
「え?」
予想していなかった答えにカノンは耳まで赤くする。
「おまえ、顔だけだからな。」
「は?」
「汚部屋へっこきなら苦労させてもしらねぇや。よろしくな。」
「え?」
「綺麗な部屋で過ごしたほうが気分晴れやか。そんな母ちゃん見たくて、掃除覚えた。」
アギトは学習机のイスに座ったまま続ける。
「母ちゃんが食べたいって言ったお菓子練習して、早く一緒にゆっくりできるように皿洗いも覚えた。」
「母ちゃん、母ちゃんって、もしかして…。」
「違う違う! マザコンなんかじゃねぇよ。普通に母ちゃん好きなだけだ。」
ツーブロックの頭頂部にパーマをかけ、腰からはジャラジャラ鎖を下げている。イカつい見た目から「母ちゃん」と出てくるたびにカノンは笑いをこらえるのに必死だった。
「こんなに母ちゃん大好きな人が、女の子にケガさせる?」
カノンが問いかけるとアギトはイスをクルリと回して、背を向けた。
「そうすりゃー、1番丸く収まるって騙された。やっぱわかるやつにはわかるんだな。」
アギトの話では、イケメンの暴れん坊が女の子に殴りかかったのをかばって揉み合いになり、イケメンの拳が女の子をケガさせたらしい。
「オレ、頭わりーからよ。早く終わらせちまいたいのが勝っちまったんだよな。」
その場に居た人が残されて、長々と事情の確認をされるのに疲れてしまったらしい。しかも女の子とイケメンはアギトがやったと言うもんだから、戦っても勝ち目がなかったらしい。
「アギトくんって、どこまで優男なの? 早く解放してあげたくて引き受けたってわけ?」
カノンの問いかけにアギトはコックリうなずいた。
「母ちゃんに『かわいい女の子泣かすな』って口酸っぱく言われてっからよ。ミス米町のお前の部屋も綺麗にして喜ばせてみたくなった。…あーん!? なに笑ってんだよ!」
「アギトくん、ホントいいやつ。」
「笑うなー!」
真面目に話すイカついアギトに、カノンはすっかりほれてしまっている。アギトの顔はどんどん赤くなっていく。
「ねぇ。」
「あーん?」
カノンは意を決してベッドにデデンと尻を沈めた。
「アギトくん。わいのツレになってくれない? わいの夫で、わいふってやつ! どう?」
「おまえ、ほんっとうに頭わりーな。オレのツレなんて、苦労するに決まってんだろ。」
ブー!
聞こえた。聞こえてしまった…。
ベッドの中から肉が空気に震わされる音が…。
「おまえ、マジかよ…。このタイミングでこく?」
カノンは何も言えずにただただ顔を赤くしている。
「まさか、すかすために布団に座ったのか?」
アギトが睨みをきかせる中、カノンは両手で顔を覆っている。
「いいぞ。」
「え?」
予想していなかった答えにカノンは耳まで赤くする。
「おまえ、顔だけだからな。」
「は?」
「汚部屋へっこきなら苦労させてもしらねぇや。よろしくな。」



