―どうして私にこの力が与えられたのか今、理解した

京を緋色の目で見たあの日、つばきの脳内には血まみれになった京の姿が目に入った。
淡青色の着物が赤黒く染まっていくそれを見てつばきは大きく取り乱してしまったのだ。
あまりにも強烈な映像だったから気を失ってしまった。

目を覚ましてからも京の未来が本当に訪れるのか、訪れるのであればいったいいつそれが起こるのか考えることが多すぎて脳内がパンクしそうになっていた。
自分一人で抱え込むには不可能な内容だ。だがそれを周囲に話して信じてもらえるはずもないだろうし話すということは自らの能力を打ち明けるということだ。

一晩考えた。
そして一つの答えを導き出した。
それが正しい選択かどうかはわからない。それでも、これしかないと思った。

「私は…京様の未来を変える」

どうしてこの力が与えられたのか分からなかった。誰かの未来を見たところで何の意味もないのだ。この緋色の目のせいで呪われていると周囲から疎まれ、殺されるところだった。

生きている意味がないと思い、死のうとしたところを京に助けられた。
今思い返すと、それは運命のようだった。
私の能力は彼のためにあったと考えればすべてが納得できる。
こんなことを誰かに話しても信じてくれる人はいないだろう。それでも、これはつばきが導き出したたった一つの答えだった。