それから一週間が経過した。
つばきが屋敷から出ていこうという気配は全くない。加えて、元気にみこの手伝いをする日々を送っている。傍から見れば元気そのものだろう。
だが、やはり彼女の言動には違和感が残る。
出来るだけ一緒に過ごしたいといったつばきはそれからどこへ行くにも仕事以外は京についてきた。彼女の性格上、一番しそうにないことをしているのだ。
そしてもう一つ不思議なことがある。それは京の交友関係を知ろうとしてくる。
それは普通の女性が付き合っている男性へ向ける興味とは明らかに違う。まるで義務のように仕事のように京について知ろうとしてくる。

「つばき、ちょっといいか」

今日は仕事が休みだった。
つばきは朝から慣れたように食事の準備をして女中たちの仕事を手伝っていた。
忙しそうにバタバタと動き回るつばきに背後から声を掛けた。
彼女は直ぐに反応して振り返る。京を視界に捉えると嬉しそうに近づいてくる。

「京様、」
「少し時間をいいか」
「もちろんです」

暑いのか、首筋に薄っすらと汗が浮かんでいる。
一瞬目を逸らしそうになった。あんなに幼く見えた彼女はこの屋敷に来てから随分健康的になった。その分色気が増したのだろう。
時折見せる妖艶な表情に自分の欲を抑えるのに必死だ。