母親を緋色の目で見たことがあった。酷く痩せている姿だった。
それは今思えば、半年後の母親の姿だった。
もしかしたら今…京を緋色の目で見たとしても一週間後の未来しか見えないかもしれない。
だとしても、つばきは見たかったのだ。

京の未来に自分が隣にいるのかどうか。

つばきの瞳が緋色に光った。唾を呑み込み、初めて京を緋色の瞳で捉える。

すると…―。

「きゃあっ…―」

つばきは緋色の瞳で京を見た瞬間両手で顔を覆い叫んでいた。
「つばきっ…、どうした、何があった。どこか痛むのか」
心配する京の声は聞こえない。
つばきはどこも痛みなどなかった。ただ、混乱していたのだ。目の前に広がった光景に。
「京様…っ…京様、」
「どうした。俺はここにいる。何があった?」
つばきは首を横に振り錯乱状態だった。
そのうちつばきは意識を失っていた。