「京様…聞かないのですか。私の瞳について」
「あぁ。無理に訊き出すこともでもない。それに前にも話したが呪われた瞳は嘘だと思っている」
「そうですか…お願いがございます。私に人を呪い殺す力はありません。全く別の力です…それを具体的に話すことは出来ませんが…京様を緋色の目で見てもよろしいでしょうか」

京が大きな瞳を更に大きくし、そしてすっとそれを細めた。

「もちろん、お前がしたいならいつでもその目で見たらいい」

京ははっきりとそう言った。
優しいまなざしを向けられると、本当のことを言いたくなるがこれは母親との約束だ。
誰にも話すことは出来ない。だが、どうしても知りたいのだ。

京の隣に…―自分はいるのだろうか、と。

人はどこまでも欲深い生き物なのかもしれない。京の気持ちを訊くまでは夜伽としてでいいから傍にいられたら幸せだと、未来を知ることに意味はないと思っていた。
それなのに京と気持ちを通わせた瞬間に、欲が出る。

緋色の瞳に光る時、それはその人物の未来を見ることが出来る。どうして自分にそんな力が備わっていたのかはわからない。
それにこの力はその人物の未来を映すとはいっても、それが一週間後なのか一か月後なのか半年後なのか…それもわからないのだ。