間違ってなどいないのだ。
華族の結婚はほぼ本人同士の意思は関係ない。家同士の結婚とイコールなのだ。
京ももちろんそれを分かっているはずだ。
京の母親がつばきに視線をやる。強く、そして美しい瞳だった。
「少し調べました。どうやら西園寺家のお嬢さんのようね。でも、今は元…西園寺家と言った方が正しいかしら」
「…はい、京様とは…私が身を川に投げようとしているところを助けていただきました。命の恩人でもあり…そして、私の愛する人です」
つばきも真っ直ぐに京の母親を見据える。
元西園寺家という部分を強調したのはつばきの過去を調べたから、だろう。それもそれなりに詳しく知っているようだ。
「思うのは勝手だけど、あなただってわかっているでしょう?あなたの母親は西園寺家の長女でありながら身分差のある恋をして結局どちらも不幸になった。身寄りのなくなったあなたは西園寺家からも縁を切られた。しかしいとこである清菜という女性がこっそりと支援をしていた、と」
つばきは思わず顔を歪めていた。
そして、違う、と言った。
「違います!母親は…不幸なんかじゃなかった…。父親が早くに亡くなってしまったことは不幸かもしれない。でも、本当に愛していたのです。それは娘の私が一番に良く分かっております」
声を張り上げるつばきに京の母親は言葉を噤む。
華族の結婚はほぼ本人同士の意思は関係ない。家同士の結婚とイコールなのだ。
京ももちろんそれを分かっているはずだ。
京の母親がつばきに視線をやる。強く、そして美しい瞳だった。
「少し調べました。どうやら西園寺家のお嬢さんのようね。でも、今は元…西園寺家と言った方が正しいかしら」
「…はい、京様とは…私が身を川に投げようとしているところを助けていただきました。命の恩人でもあり…そして、私の愛する人です」
つばきも真っ直ぐに京の母親を見据える。
元西園寺家という部分を強調したのはつばきの過去を調べたから、だろう。それもそれなりに詳しく知っているようだ。
「思うのは勝手だけど、あなただってわかっているでしょう?あなたの母親は西園寺家の長女でありながら身分差のある恋をして結局どちらも不幸になった。身寄りのなくなったあなたは西園寺家からも縁を切られた。しかしいとこである清菜という女性がこっそりと支援をしていた、と」
つばきは思わず顔を歪めていた。
そして、違う、と言った。
「違います!母親は…不幸なんかじゃなかった…。父親が早くに亡くなってしまったことは不幸かもしれない。でも、本当に愛していたのです。それは娘の私が一番に良く分かっております」
声を張り上げるつばきに京の母親は言葉を噤む。