「昨日は…屋敷に帰ってからすぐに寝てしまいましたが…本当に申し訳ございませんでした」
「もういいんだ。済んだことだ。それよりも約束してくれ」
「はい」
「二度と勝手に目の前から去っていこうとするな。それともここは居心地が悪いか?」
「とんでもございません。幸せ過ぎるほどに…ここは居心地がいいのです」
京は顔を綻ばせる。安堵しているようにも見えた。
「ならここにいろ。それにおまえを買ったのは俺だ。誰にも渡さない」
深く頷くと京がつばきの頭を撫でる。
「寝ぐせがついている」
「…すみません」
心臓がきゅうっと何かに掴まれるように痛む。でもそれは悪い痛みではない。
京が「仕事に行ってくる」と言ってつばきの脇を通り過ぎる。
つばきはいってらっしゃいませと頭を下げた。まだドクドクと煩い鼓動。
(私はどうしてこの目をもって生まれてきたのだろう。もしも、京様を緋色の目で見たら…どんな未来が見えるのだろう。その隣には私がいるのだろうか)
京の背中を見ながら、つばきは緋色の瞳で彼を見ようとした。が、すぐに首を横に振った。
未来など、知らない方がいいのだ。
絶対に。
「もういいんだ。済んだことだ。それよりも約束してくれ」
「はい」
「二度と勝手に目の前から去っていこうとするな。それともここは居心地が悪いか?」
「とんでもございません。幸せ過ぎるほどに…ここは居心地がいいのです」
京は顔を綻ばせる。安堵しているようにも見えた。
「ならここにいろ。それにおまえを買ったのは俺だ。誰にも渡さない」
深く頷くと京がつばきの頭を撫でる。
「寝ぐせがついている」
「…すみません」
心臓がきゅうっと何かに掴まれるように痛む。でもそれは悪い痛みではない。
京が「仕事に行ってくる」と言ってつばきの脇を通り過ぎる。
つばきはいってらっしゃいませと頭を下げた。まだドクドクと煩い鼓動。
(私はどうしてこの目をもって生まれてきたのだろう。もしも、京様を緋色の目で見たら…どんな未来が見えるのだろう。その隣には私がいるのだろうか)
京の背中を見ながら、つばきは緋色の瞳で彼を見ようとした。が、すぐに首を横に振った。
未来など、知らない方がいいのだ。
絶対に。