「つばきさんの様子は?」
「眠っている。疲れたんだろう、不安もあっただろうから」
「そうですか。傷もなく良かったです。ただ今回の件は私の責任です。申し訳ございません」
「何度も謝る必要はない。それにおまえにもお前なりの考えがあったのだろう?」

薄っすらと目を開けるとぼんやりと灯りで照らされた寝室にいることに気が付いた。
京の寝室であることも同時に理解する。
話し声が近くから聞こえてくるが、黙って目を閉じていた。みこと京が話していることは分かった。

「ええ、そうです。しかし結果としてつばきさんを危険な目に合せることになった。最初から京様にお伝えするべきでした。それで、あの紙は悪戯だとは思いますが…誰がやったのか判明したのでしょうか」
「判明していない。だがだいたい見当はついている。西園寺家のものだろう」
「西園寺家?あの…」

数秒間がある。どんな表情で会話をしているのかはわからなかった。

「あぁ。だが証拠はない。今後も嫌がらせをしてくる可能性はあるだろう」
「そうですね、つばきさんに何かないように一人での外出は禁止にした方がいいかと」
「もちろんだ。俺かみこと一緒でなければ外出は禁止にする」
「目的は嫌がらせだけでしょうか」