朝食を京と一緒に取ることは初めてだった。
みこは相変わらず淡々としているが、つばきから眼を逸らしたり避けたりすることはなかった。ただ、他の女中たちは違った。
“呪われる”と信じている女中たちも多かったようでつばきとは一切目を合せないようにしていた。

それは仕方のないことだとは思うが、京にそれが伝わるのはまずい。
もちろん、みこが上手いこと漏らさないよう女中たちへ話してくれているようだが、態度で知られてしまう可能性がある。
朝食を味わう間もなく、つばきはいつもよりも早めに食べ終えるとみこに「何か手伝います」と言った。
「わかりました」と端的に答えると、

「京様、今日はお休みということですがずっと屋敷におられるのですか」
京が椅子から腰を離し、立ち上がるタイミングでそう訊いた。
「まぁそうだな。出かけるかもしれないが、今日は仕事以外でやることがある」
「わかりました。ではつばきさんさっそくお手伝いしてもらいましょうかね」
「はい、」

京が自室へ戻る後ろ姿を見ながら、そっと心の中でありがとうございましたと言った。