「つばきちゃんが別に呪いの目を持っていてもいいけど、そのせいでここにいられなくなるかもしれないって思って。つばきちゃんのことだから責任感じてそうだなって」
「そんなことないよ。みんな普通だったわ」
「そうかなぁ。中院様はどうしてこちらへ?」
「うーん。つばきさんに会いに来たってところかな」
「ひゃ~そうだったんですね!」

顔を両手で隠すようにして何か誤解している反応をする雪につばきは違うからね、と何度も言った。
翔は二人を見てクスクスと笑うと、「じゃあまた来るよ」と言って背を向ける。
去り際、つばきに耳打ちをした。

「君のことだからどうせこの屋敷から出ていく気なんだろうけど。何かあれば僕も力になるから言ってね」
「……」

彼は決して顔色を変えたりはしない。
立ち尽くすつばきに、雪が心配そうに声を掛けるが何も言えなかった。