「でも、心当たりはあるんじゃない?君にこんなことをする人ってつばきさんの呪われた目のことを知っているってことだよね」
「…はい、そうだと思います」
「でも変だよね。ここの屋敷は今日も二人警護の人がいたよ。どうやって敷地内にばら撒いたんだろう。まさか内部の人?」

つばきはかぶりを振った。緋色の目について知っている人物はこの屋敷には京だけだ。
それを知っているのは以前住んでいた農村地の人々と、西園寺家のものだけ。
どのようにしてばら撒かれたのかは後で警護の人に聞いてみようと思った。
しかし、つばきには既に誰が行ったのか分かっていた。だからこそここを出ていかなければいけないのだ。

「おそらく…いとこだと…思います」
「目星はついているんだね。それなら話は早いよ。ところで、つばきさんは…兄弟とかご両親は?」
「両親は既に他界しております。兄弟はおりません」
「そっか。だからこの屋敷にいるんだね。そのいとこはつばきさんに何か恨みでも?」

それに関しては答えることが出来なかった。
清菜はつばきに対して恨みがあるわけではないだろう。何もしていないのだ。しかし昔からつばきを嫌っていたようには思う。
彼女にここで暮らしていることがバレれば、嫌がらせはもっとエスカレートするだろう。
それだけは、避けたい。