…―…
…
「失礼いたします」
二度目の“仕事”だった。
前回と同じようにして寝室に入る。しっかりと自分の気持ちを知ったつばきは以前よりも緊張していた。
「こっちへ来てくれ」
「はい、」
一歩、足を踏み入れるとすぐに京がそう言った。
京は既にベッドの上に腰かけていた。
オレンジ色の照明が部屋に灯りを宿す。
つばきはそっと京の隣へ腰を下ろした。出来るだけ緊張感が伝わらないようにしているつもりだったが、無意識に太ももに置かれた手が拳を作っていた。
京はそれに気が付いたようだ。その手の上に自分のそれを重ねた。
「今夜は…どうぞよろしくお願いいたします」
「よろしく」
抑えた声が耳朶を打つ。京の手がつばきの首筋へと触れた。
ビクッと大きく体を揺らしてしまい、すみませんと咄嗟に謝る。しかしその直後唇が塞がれた。大きく目を見開き、思わず京の胸元に手をやる。
今日の彼は変だと思った。何も言わず、まるでつばきを求めるかのように深いキスをする。
京はつばきに体重をかけ、そのままベッドへ体を沈める。
「…っ…ぅ、ふ…ん、」
甘く深いキスが繰り返される。
仕事なのだから、京に“してもらう”のは失礼になるのではないかと思っていた。
だが、経験のないつばきにはハードルが高い。
主導権は完全に京が持っている。
ボーっとして体に力が入らなくなる。それなのに心拍数はどんどん上昇していく。気絶してしまうのではと思うほど、全身が熱くて呼吸が浅い。
何度かつばきの呼吸が苦しくならないように唇を一瞬離してくれるが、徐々にそれも無くなっていく。つばきは京の背中に自分の手を回した。
大きな背中を感じると少しだけ安心する。
「っ…はぁっ…も、申し訳ありませんっ…呼吸が、」
「苦しい?」
思わず顔を背けてそう言った。
いつの間にか浴衣が開け、肩が露出していた。京がつばきの顔を覗き込む。
「ごめんなさいっ…慣れて、いなくて…次からは京様に満足していただけるよう…」
「いい、別に慣れろとは言っていないだろ」
「でも…」
「俺の名を呼んで俺の隣にいてくれたらそれでいい」
どうして彼がここまで自分に優しいのか、ここまでしてくれるのか分からない。
でも、はっきりしていることは彼を愛してしまったということだ。
決して口には出来ない秘めた感情を…―。
京がつばきの足の間に割って入る。そのまままた唇を塞がれる。
はしたない声を上げ、耳を塞ぎたくなる。自然に漏れ出る嬌声が寝室に響き渡る。これは仕事なのだから、夜伽として個人的な感情を抱くのはいけないことだろう。
しかし、今のつばきは京だから抱かれたいと思っていた。
「嫌だったらやめる。言ってくれ」
微かに首を横に振る。それ程にしか体を動かせない。
全てが初めてだった。丁寧な愛撫も、全部。
「嫌ではないということか?」
「も、ちろんです…京、様…」
京が優しくつばきの手を握った。
…
「失礼いたします」
二度目の“仕事”だった。
前回と同じようにして寝室に入る。しっかりと自分の気持ちを知ったつばきは以前よりも緊張していた。
「こっちへ来てくれ」
「はい、」
一歩、足を踏み入れるとすぐに京がそう言った。
京は既にベッドの上に腰かけていた。
オレンジ色の照明が部屋に灯りを宿す。
つばきはそっと京の隣へ腰を下ろした。出来るだけ緊張感が伝わらないようにしているつもりだったが、無意識に太ももに置かれた手が拳を作っていた。
京はそれに気が付いたようだ。その手の上に自分のそれを重ねた。
「今夜は…どうぞよろしくお願いいたします」
「よろしく」
抑えた声が耳朶を打つ。京の手がつばきの首筋へと触れた。
ビクッと大きく体を揺らしてしまい、すみませんと咄嗟に謝る。しかしその直後唇が塞がれた。大きく目を見開き、思わず京の胸元に手をやる。
今日の彼は変だと思った。何も言わず、まるでつばきを求めるかのように深いキスをする。
京はつばきに体重をかけ、そのままベッドへ体を沈める。
「…っ…ぅ、ふ…ん、」
甘く深いキスが繰り返される。
仕事なのだから、京に“してもらう”のは失礼になるのではないかと思っていた。
だが、経験のないつばきにはハードルが高い。
主導権は完全に京が持っている。
ボーっとして体に力が入らなくなる。それなのに心拍数はどんどん上昇していく。気絶してしまうのではと思うほど、全身が熱くて呼吸が浅い。
何度かつばきの呼吸が苦しくならないように唇を一瞬離してくれるが、徐々にそれも無くなっていく。つばきは京の背中に自分の手を回した。
大きな背中を感じると少しだけ安心する。
「っ…はぁっ…も、申し訳ありませんっ…呼吸が、」
「苦しい?」
思わず顔を背けてそう言った。
いつの間にか浴衣が開け、肩が露出していた。京がつばきの顔を覗き込む。
「ごめんなさいっ…慣れて、いなくて…次からは京様に満足していただけるよう…」
「いい、別に慣れろとは言っていないだろ」
「でも…」
「俺の名を呼んで俺の隣にいてくれたらそれでいい」
どうして彼がここまで自分に優しいのか、ここまでしてくれるのか分からない。
でも、はっきりしていることは彼を愛してしまったということだ。
決して口には出来ない秘めた感情を…―。
京がつばきの足の間に割って入る。そのまままた唇を塞がれる。
はしたない声を上げ、耳を塞ぎたくなる。自然に漏れ出る嬌声が寝室に響き渡る。これは仕事なのだから、夜伽として個人的な感情を抱くのはいけないことだろう。
しかし、今のつばきは京だから抱かれたいと思っていた。
「嫌だったらやめる。言ってくれ」
微かに首を横に振る。それ程にしか体を動かせない。
全てが初めてだった。丁寧な愛撫も、全部。
「嫌ではないということか?」
「も、ちろんです…京、様…」
京が優しくつばきの手を握った。