勢いがよかったせいか京に抱きしめられたまま京と一緒に倒れ込む。
「やけに積極的だな」
「…だって、」
そのままの流れで京がつばきの首筋に顔を埋め、そのたびに寝台の軋む音が耳朶を打った。


浴衣が開けて、鎖骨に這う舌の動きが激しくなる。
まだ15歳の少女にやきもちを妬いているなど知られたくないしそんな自分が嫌になる。
でも、そのたびに自分は京をどこまでも愛しているのだと実感する。
お互いの吐息が絡み合い、息遣いが荒くなってくる。と、その時。

それはまるで怪奇現象のようにドアが乱暴に動く。
つばきも京も同じタイミングで視線を音のする方へやる。
誰かがドアを外から叩いているようだった。
京が体を起こして、「つばきはここにいろ」と言い立ち上がる。

「京様、」
ガタガタと動き続けるドアにつばきは首を縮め、一体何が起こっているのか分からずその不穏に揺れるドアを見つめる。
京が「誰だ」と声を出してもドアの向こうにいる“人”は返事をしない。
「まさか!」
怪談話なら何度か耳にしたことはあった。もしかすると、そういった人ではない何かが…?と思ったが、その心配は必要なかったようだ。
ドアを開けると、先ほどつばきがしたように京の胸に飛び込んだのはみのりだった。