隣にいる京は何一つ顔色を変えない。
「あぁ、なるほど。みのり、あなたは“邪魔もの”なのですから、ほらこっちの手伝いをしなさい。働かざるもの食うべからずと何度も言っているでしょう」
宗一郎は全てを理解したようで、みのりの手を引き強引に厨房から離れさせた。
出来れば明日には家に帰ってほしいと心の底から願った。

―その日の夜

夕食時も京から離れようとはせず、先ほどのつばきとのキスを目の当たりにしたことでみのりの京へのアピールはより強くなったように思う。
宗一郎がいなければきっと京の入浴時に侵入していただろう。(宗一郎がずっと見張っていたからそれは阻止された)
どうしたらみのりは家に帰ってくれるのだろうと考えるが、やはり京への気持ちに区切りがつかなければ無理なのは容易に想像がつく。
客用の部屋に宗一郎とみのりが眠るようだがきっと今夜もみのりが京の寝室にやってくるのではないかと思っていた。

「どうした、寝ないのか」
「みのり様は大丈夫でしょうか」
「今日もここへ来ると思うか」
「…はい」
「宗一郎さんが見てくれているから大丈夫だろう、ほら」

ベッドの縁に座る京がつばきに手を広げる。こくり、頷きつばきは無言で京の胸に飛び込む。