最後の力を振り絞り、緋色の目で雪の未来を見る。
雪はつばきを見て小さな声を上げる。その目が緋色に光れば誰だって驚くだろう。
吃驚した声を上げた後、「ごめん、つばきちゃん…っ、ごめんねっ…」しゃくり上げながら言った。

「つばき!動くな!頼むから…」

つばきは雪の未来を見た。
雪は笑って誰かと喋っているようだった。何のことはない、ただの日常風景だった。
それを見てつばきは笑った。

「雪ちゃん…大丈夫、あなたの…未来は、明るいから」
「つばきちゃん…?」
「つばきっ…、」

京が強くつばきの手を握る。しかしそれを握り返す力はない。
意識が遠のきそうになるが、雪に伝える。

「あなたはちゃんと笑って、いたわ…。大丈夫、…あなたの未来は決して悲劇じゃない。…明るい、ものだから…」

雪はうんと頷き畳の上に額を擦りつけるよう頭を下げる。
ゆっくりと京を見据える。
「京様、愛しております」
そう言った後つばきは意識を失った。しかし暗闇の中から愛していると確かに声が聞こえた。