行為中に支障が出ないよう、長い髪の毛は三つ編みにして纏めていた、
行為中、どのように京を悦ばせたらいいのか異性と夜を共にしたことのないつばきにはわからなかった。
「失礼いたします。今夜はよろしくお願いいたします」
部屋に入るとすぐに膝を折り、正座をして頭を床に擦りつける。徐々に顔を上げると、目の前に京がいた。彼も膝をついてつばきと同じ目線だった。
平常心を保とうと必死だったのに、やっぱり京と顔を合わせるとそれは不可能だった。
パクパクと口を開け、泣きそうに顔を歪めた。
「そんなに嫌だったか?目が赤い」
「い、いえ!違いますっ…私は夜伽として買われたのですから、嫌だとかそういう感情は関係ありません」
「関係ある。嫌がるお前を抱くつもりはない。今日は俺の隣で寝てくれればいい。何もしないよ」
「それは、どういう、」
「そのままだ。まぁ、いずれ俺のものになってもらう予定だ。今はここへきて一日しか経っていないのだから」
分からなかった。つばきを買ったといった京はどうしてこうも自分の体調を気遣うのか。ただの夜伽ならば関係ないはずだ。無理にでも抱いたっていいはずなのに。
京がつばきを立たせた。覚束ない足取りのつばきをベッドに寝かせた。
人形のように京にされるがままなのは”何もしない”という彼の言葉を信じてしまったからだ。
初めてベッドに体を預けたつばきは緊張とほんの少しの好奇心で感情が忙しい。
京の着流し姿はどこか隙があるようで色気があった。そのせいで胸が高鳴っているのだと自分に言い聞かせる。
ベッドの中に体を沈める。
京も同じようにしてつばきの隣に体を預けた。
異性と同じベッドで眠るなど経験はない。キスだって初めてだったのだから当然だ。
「聞きたいことがある」
「…はい」
静まり返る寝室で、京が正面を向いた状態で言った。
「呪われた緋色の目の話だ」
「っ…」
「その目の件も側近に調べさせた。お前の生い立ちについてもそれなりには調べたがあまり情報が上がってこない。西園寺家が絡んでいるからだとは思うがそれが本当ならば緋色の目の件も本当になる。だが…―」
つばきは京が何を言いたいのか理解できなかった。それなりに自分のことを調べていることは知っていた。だが、自分の何を知りたいのか分からない。
生い立ちもそれなりに知ることが出来れば十分なはずだ。たかが夜伽なのだから、別にどうだっていいはずだ。
「俺はお前の瞳が呪われているというのは嘘だと思っている」
思わず小さな声を上げていた。動揺を表に出さなぬよう、「どうしてそう思うのでしょうか」と訊く。しかし語尾が震えていた。
「こっちを向け」
「…はい」
つばきはゆっくりと体を彼の方へ向けた。至近距離で同じ布団の中にいる。
心臓が早鐘を打つ。
行為中、どのように京を悦ばせたらいいのか異性と夜を共にしたことのないつばきにはわからなかった。
「失礼いたします。今夜はよろしくお願いいたします」
部屋に入るとすぐに膝を折り、正座をして頭を床に擦りつける。徐々に顔を上げると、目の前に京がいた。彼も膝をついてつばきと同じ目線だった。
平常心を保とうと必死だったのに、やっぱり京と顔を合わせるとそれは不可能だった。
パクパクと口を開け、泣きそうに顔を歪めた。
「そんなに嫌だったか?目が赤い」
「い、いえ!違いますっ…私は夜伽として買われたのですから、嫌だとかそういう感情は関係ありません」
「関係ある。嫌がるお前を抱くつもりはない。今日は俺の隣で寝てくれればいい。何もしないよ」
「それは、どういう、」
「そのままだ。まぁ、いずれ俺のものになってもらう予定だ。今はここへきて一日しか経っていないのだから」
分からなかった。つばきを買ったといった京はどうしてこうも自分の体調を気遣うのか。ただの夜伽ならば関係ないはずだ。無理にでも抱いたっていいはずなのに。
京がつばきを立たせた。覚束ない足取りのつばきをベッドに寝かせた。
人形のように京にされるがままなのは”何もしない”という彼の言葉を信じてしまったからだ。
初めてベッドに体を預けたつばきは緊張とほんの少しの好奇心で感情が忙しい。
京の着流し姿はどこか隙があるようで色気があった。そのせいで胸が高鳴っているのだと自分に言い聞かせる。
ベッドの中に体を沈める。
京も同じようにしてつばきの隣に体を預けた。
異性と同じベッドで眠るなど経験はない。キスだって初めてだったのだから当然だ。
「聞きたいことがある」
「…はい」
静まり返る寝室で、京が正面を向いた状態で言った。
「呪われた緋色の目の話だ」
「っ…」
「その目の件も側近に調べさせた。お前の生い立ちについてもそれなりには調べたがあまり情報が上がってこない。西園寺家が絡んでいるからだとは思うがそれが本当ならば緋色の目の件も本当になる。だが…―」
つばきは京が何を言いたいのか理解できなかった。それなりに自分のことを調べていることは知っていた。だが、自分の何を知りたいのか分からない。
生い立ちもそれなりに知ることが出来れば十分なはずだ。たかが夜伽なのだから、別にどうだっていいはずだ。
「俺はお前の瞳が呪われているというのは嘘だと思っている」
思わず小さな声を上げていた。動揺を表に出さなぬよう、「どうしてそう思うのでしょうか」と訊く。しかし語尾が震えていた。
「こっちを向け」
「…はい」
つばきはゆっくりと体を彼の方へ向けた。至近距離で同じ布団の中にいる。
心臓が早鐘を打つ。