清菜もそのうちの一人だと思っている。
京は既に清菜含めた西園寺家にも焦点を当て何か動きがないか調べているようだ。
もしも清菜が何かをするとなればあの時と同じように誰か他の人間に頼むはずだ。
そしてそれを実行するとなれば、そのような人物に“接触”するだろう。
それを読んでのことのようだが、まだ動きはないようだ。
他には、と考えるが恨みというのは気が付かないうちに相手に植え付けてしまうこともあるだろう。

「京様、髪を切る予定はございませんか」
「それならば来週にその予定があるが」
「本当ですか、」

つばきは京の手を握って珍しく声を張り上げる。
(あの時見た京様は今よりも少し髪が短いように思ったわ。きっと、京様が髪を切ってから一か月以内に…)

「どうかしたのか」
つばきは今思っていたことを話した。一度目に彼を見たときも同じことを思っていたのだ。
「分かった。では予定通りに髪を切ってそれから特に注意しよう」
「はい」

安堵したのも束の間、京が突然つばきに覆いかぶさる。

「あ、…え、」
「その跡を見るとあいつの顔が浮かんで苛立つんだ」

あっという間に押し倒され、柔らかなソファの感覚と京の重みを感じながら首筋の後を手で押さえようとした。
だが、既に京に手首を固定されている。
「京様…ぁっ…」

京がつばきの首筋に顔を埋めた。そして、今日つけられた跡と同じ位置に唇を這わせ、チクリと甘い痛みが走る。


何度も何度もそこにキスをする京にすぐに息が上がってくる。
呼吸が浅くなるのを合図とするように京の手がいつの間にか外されている帯のせいで開けている足に這わせる。

「京様…、あっ…」

甘美な刺激に抵抗しようとも思わない。この快楽に身を任せたいと思うのだ。
これは京だからだ。
環に首筋に同じことをされた際は怖いとしか思わなかったが、京だと違う。
もっと、そう思ってしまう。
京が満足するまで首筋にキスをすると、その後つばきの耳を愛撫する。
それでも愛撫を続ける京にしがみついた。

「いつもよりも素直だな」
「い、いつも…っ…通りです…はぁ…、ぁ」
「夜は素直じゃないが」

そういっていつも見せない無邪気な顔をする京を見つめた。火照った頬を撫で、唇に指を這わす。
体勢を変え、つばきに愛撫を続けるその夜はとても長く感じた。つばきがいいといっても京はつばきを求めた。