昨日は二度目の京の未来を見ることが出来たが、直に来るであろう未来は京に命の危険があるということと、本来であればつばきが刺されるはずだった…という残酷な未来だった。
だが、京に本当のことを話すことが出来て心強いのも確かだ。もちろん自分のせいで、という思いもあるが一緒に乗り越えようとしてくれる京の姿勢に勇気を貰える。

「そうだ、今日は弟が屋敷に来るようだ」
「…環様ですね」
「あぁ、でもつばきは別に関わらなくていい」
「……」

環のあの冷たい視線を思い出すと背筋が粟立つ。彼はつばきを快く思っていないだろう。
つばきという存在を疎ましく思っているように感じた。

「つばき、お前の目はその人の未来を見ることが出来るんだな」
「そうです」
「でも“どの時期”の未来を見ることが出来るのかはわからないと」



「その通りです。なので…本当は京様に関わりのある人たちを緋色の目で見たかったのですが…一緒に生活している京様であればバレずにそっと緋色の目で見ることは可能かもしれませんが…あまり親しくない人を緋色の目で見るのはリスクがあります。例えばみこさんでさえ、緋色の目で見ることは難しいです。私の目は直ぐに緋色の光が消えるわけではありません。だから…緋色の目で見ていることがバレてしまったら逆に怖がらせてしまったりこの目の秘密がバレてしまう危険があります」

おそらく京はつばきに関わりのある人たちを緋色の目で見るという提案をしたいのだと思った。

以前までは京に関わりのある人物だと思っていたから、できればその人たちを緋色の目で見たかったがリスクがある。それに京に危害を加える瞬間の未来が見えるとも限らないのだ。
ちなみにこっそりではあるが、翔が以前この屋敷に来た際に背を向ける彼を緋色の目で見たことがあった。だが、翔の自宅で見たことのない人たちと談笑している姿しか浮かんでこなかった。
もちろんだからと言って翔が無関係の人物と断言できるわけがない。