ぶるぶると震えるつばきを京は強く抱きしめた。
そして言った。

「つばきは大丈夫だったのか。怪我はなさそうだったか」
「はいっ…私は怪我などしていないでしょう。だって…京様がっ…」

京がつばきを庇ったから、つばきの代わりに刺されたのだ。
あんまりだと思った。
自分のせいで京が死ぬかもしれないのだ。

(京様を愛している。愛しているから生きてほしい。私のせいで死ぬ可能性があるのならば…私は離れよう。京様から離れたら、死ぬのは私になるのだから)
しかし、京は言った。

「お前が無事ならば良かった」
「え…―っ」
「そんなに泣くことはない。俺がお前を守れた未来だったのだろう?それならば本望だ」

―どうして

そう言おうとすると、京は優しく微笑んだ。

「お前を愛しているからだ。だからつばきを守れるのならば…―本望だ」