会場では花束受付と書かれた専用のスペースが儲けられており、すでにたくさんの花束で溢れていた。その花々はとても豪華で美しく、春花は自分の持っている花束と比べて落ち込んだ。急にみすぼらしく思えてしまったのだ。
「花束の受付はこちらです」
「あ、はい、すみません」
声をかけられて春花は急いで受付へ花束を託す。
「こちらにお名前のご記入をお願いします」
「……はい」
ご芳名と書かれた紙に山名春花と書く。このたくさんの花束の中では春花の花束は埋もれてしまうだろう。名前を書いたとしても、果たして本人に見てもらえるかわからない。
(有名人だもの、直接渡せなくて当たり前よね)
頭の中では理解しているものの、やはり一言静にチケットのお礼を言いたかった。静は有名人だとわかっていても、同級生なのだから簡単に会えるのではないか、そんな甘い考えでいた春花だったが、静はもうずいぶんと遠いところにいってしまったという実感がわく。
春花の手の届かない、遥か先へ。
「花束の受付はこちらです」
「あ、はい、すみません」
声をかけられて春花は急いで受付へ花束を託す。
「こちらにお名前のご記入をお願いします」
「……はい」
ご芳名と書かれた紙に山名春花と書く。このたくさんの花束の中では春花の花束は埋もれてしまうだろう。名前を書いたとしても、果たして本人に見てもらえるかわからない。
(有名人だもの、直接渡せなくて当たり前よね)
頭の中では理解しているものの、やはり一言静にチケットのお礼を言いたかった。静は有名人だとわかっていても、同級生なのだから簡単に会えるのではないか、そんな甘い考えでいた春花だったが、静はもうずいぶんと遠いところにいってしまったという実感がわく。
春花の手の届かない、遥か先へ。