そのあとの会話はなくて、私は優陽くんがゆっくり立ち上がって去っていく姿を目に焼きつけた。

距離が遠くなって、離れて。それはわたしたちの終わりを示していた。




彼がいなくなった途端、堰を切ったように溢れてきた涙を止めるように両手で顔を覆った。

誰かに見られるかもしれないとか、変な目で見られるかもしれないとか、どうでもよかった。



想いが、思いが、一気に溢れてきた。



「はっ……」

後悔は、たくさんあるけど、別れたことに対しての後悔はまったくない。




やっと彼を離せて、やっと彼を楽にできて、彼は泣いていたけど、清々しい顔をしていた。

これでよかったんだ、彼のためにできる最後のことだったんだと思うのに、やっぱり寂しくて、虚しくて。