だけど、嘘でも言わなきゃ前に進めない。

すきと執着はぜんぜん違くて、いま変わらなければずっと変われないし、いま前に進まなきゃずっと進めない。




ただの口約束でも、わたしたちはまだガキだから、大人じゃないから、明るい未来を想像しなきゃ進めない。

たくさんの謝罪と後悔があっても、いまだけは明るい未来を想像してさよならしたいって思う。




前に進むために、明るい話をたくさんして、別れなきゃわたしたちはきっとダメになる。






「握手しない?最後に」
「うん」



わたしは手を伸ばして、大きくてゴツゴツした手に自分の小さな手を重ねる。

何度も繋いだ手、私の涙を拭った手、私の頭を撫でた手、泣いていたとき私の背中を撫でた手、もう繋げない手を握る。