大好きな人とただ唇を重ねるだけなのに、わたしはできなくて、彼の腕を掴んでゆっくり後ろに押した。

私はゆっくり首を振る。




「だめだよ、無理してするものじゃないよ、」
「っ、ごめん」




そのごめんが本音で、ごめんって一番残酷な言葉だって優陽くんは知らないのだろう。




「優陽くんは人を愛せないんじゃなくて、私を愛せなかったの」
「っ……」

「相手が私じゃなかっただけだよ」
「……っ」






優しくて、広い心を持っていて、私を傷つけたくなくて、自分が傷つく不器用な人だった。

もっとはやくこの選択をすればよかったのに、大好きなきみを散々傷つけてから、この選択をするなんて最低だった。



殴られても、怒鳴られても私は文句なんて言えないのに、どうしてきみが泣くのだろう。