そして二人の間に横たわる最大の課題はやはりお金だった。
お互い一人暮らしのため独身とはいえそれなりに生活費もかかる。互いの貯金を合わせて開業資金はまかなえても、暫くの運転資金も必要になる。
七海は既にいくつかカフェ開業を取り扱った本を手に入れて、ネットの情報も組み合わせながらざっと開業に必要な費用について挙げてみていた。
まず店舗となる建物の物件取得費、これは田舎だから都内でカフェをやることを考えればだいぶ抑えられると考えられるのでまだいい。
次に内装工事費、これは物件にもよるが必須となる厨房機器には、業務用の冷蔵庫、製氷機、ガスコンロ、シンクなどがある。
それらを一式揃えるだけでも相当の費用を覚悟しなければならない。
そして食器・備品購入費、これはソファやテーブル、チェアなども含めてだが、カフェのイメージを決めるものなので慎重に選ぶ必要があり、
中古で仕入れるにしても値段と品質を兼ね備えた品物を何軒も店を巡って探さなければならないことが予想された。
これだけでもざっと試算しても最低500〜600万は必要になりそうだった。
二人の貯金を合わせてもぎりぎり足りないくらい。運転資金を考えるとさらに100万は必要だと七海には思えた。

次の作戦会議の時に、改めて算出した金額を七海は彩夏に伝える。