「どうした、寂しかったのか」

肩を震わせてひくひく泣きじゃくっていた。

「あのね、最上先生にひどいこと言っちゃったの」
「何を言ったんだ」

「大嫌いって」

「なんでそんなこと言ったんだ」

「あのね……」

真由香は急に黙った。

駄目、もしかして大我はまだ知らないかも、私が癌だって知ったら落ち込んじゃう。

そんな可哀想なこと出来ないよ。

私は涙を拭って、笑顔を作った。

「なんでもない、ちょっとおへそが曲がっちゃったの」

「そうか、じゃあ、後で謝るんだな」

「うん」

それからたわいもない話をして大我は病室を後にした。

俺は真由香は何かを隠していると察した。

いつもは俺に不満をストレートにぶつけてくるのに、今日の真由香は違っていた。

それからしばらく平穏な日々が流れた。

でも、真由香は少しずつ、心のバランスが取れなくなり、ふらっと屋上へ上がって行った。

病室にいない真由香を最上は必死に探した。