「お前はいつもそうやって逃げて人生送るのか」

「お前には関係ない」

「真由香が他の男のものになっても何も感じないのか、嫌じゃないのか」

「真由香さんが望んでいるなら仕方ないことだ」

「はあ?真由香が望んでいるのは、お前だぞ、お前が真由香を突き放しているんだろう」

「とにかく放っておいてくれ」

そう言って、俺は最上の背中を押して部屋から追い出した。

それから俺は仕事に打ち込んだ。

マンションに戻るとベッドに倒れ込んだ。

そんなある日、親父から連絡が入った。

「大我、そろそろ見合いしてみないか」

親父の話は見合いのことだった。

どうでもいい相手と形だけでも結婚すれば、俺の気持ちも落ち着くかもしれない。
見合い結婚は俺にとって、真由香さんを忘れるための手段に過ぎない。

それでいい、それで。

次の日曜日、俺は親父の勧めで見合いをした。

二十八歳の佐原総合病院のお嬢さんだ。

結婚して病院を継いで欲しいとの条件付きだった。